LTJ BUKEM : mixmag! Live

年代的にはかなり古いものの、むしろ今より上手いんじゃないかと思うほどBUKEMのMixの手腕が存分に味わえる非常に素晴らしい1枚。なんといっても激しいアーメンビートから浮かび上がるように展開される 5. PFM / One & Only から、荒れ狂うような 6. SOURCE DIRECT / Exit 9 をはさんで、美しすぎる 7. JMJ & RICHIE / Free La Funk (PFM Mix) へと続く流れにBUKEMマジックの真骨頂を見ることができます。ミックスによってこれほどまで最大限に魅力を引き出された One & Only は前にも後にも存在しないでしょう。さらに、8. FUTUREBOUND / Sorrow ~ 9. INTENSE / Breathless というジャジーかつメロディアスな美しい展開も素晴らしく、必須の1枚。


LTJ BUKEM Presents : LOGICAL PROGRESSION

日本版「LEVEL1」とはまったく異なる内容のミックスを収録したGLR初のCD作品(FFRRからのリリース)。後に再び異なる内容で再発されているので注意が必要。内容はCD-1は幾度となく出てくるGLR初期のクラシック集、CD-2はGLR内外の曲をBUKEMの傑作ミックス。新たなる時の始まりを告げるかのような一大傑作 FUNKY TECHNICIANS / Airtight (Remix) から FORM FORM ~ Drum in a Grip …といった流れには、まだジャングルからの影響を残したせわしないブレイクビーツへの実験精神と美しいメロディとの融合を味わえる。さらに中盤の山場といえる美しくドラマティックな SEBA & LO-TEC / So Long 、そして終盤 DJ Trace ~ Universal のタイト、スムース&ファンキーな展開が最高!


LTJ BUKEM Presents : The Rebirth

ブケムのGoodLooking以外からのミックスCDとしてはかなりレアな方?ジャケも安っぽいし選曲もやや変り種が多いのでどうなのかと思いきやさすがブケム、ミックスの流れが良い。 mixmagなどでもおなじみの「ブケム」という名前の由来でもある刑事ドラマ(だったはず)のサンプリングから始まり、そしてどこかのジャムセッションのような味のある冒頭から絶妙に入ってくるジャジーなハーモニー、さらにアップリフティングなドラムンビーツとの合わせ技にいきなりやられます。さらに 2. G-FORCE (これは確かGLR幻の欠番作品?)への流れが特に美しい。後半 Artemis 2連発でのケンイシイ / Stretch のリミックスの流れるようなビートからスムース&ダークな Universal への展開なんかも面白い。


BLAME Presents : LOGICAL PROGRESSION LEVEL 2

LOGICAL PROGRESSION Level1同様、GLRの歴史に刻まれるべき素晴らしい一作。というかロジプロ1,2の2枚さえもってればGLRの最良の部分はある程度押さえられるのではないでしょうか。最初から最後までが一連のストーリーのごとく展開されてゆくのは Level1同様で、不穏な立ち上がりから徐々にGLRワールドへいざない、3.ARTEMIS / Seafarer で方舟に乗ってあてもなく彷徨うディープな音世界へ引き込まれます。さらに極めてスムースに BLAME / Solitude のジャジーなムードへ転換し、ベースラインの効かせたアッパーな INTENSE へ。そしてここから吸い込まれるような TAYLA / Dimensions への移行は泣けるほど美しい。終盤は BLU MAR TEN の名曲でひとしきり気持ち良くなってラストには宗教的とさえいえる Cuban Lynx によるエンディング。

LTJ BUKEM Presents : LOGICAL PROGRESSION LEVEL 1

これぞまさにGOODLOOKINGにおける宇宙志向理念の真髄を極めた金字塔というべき作品!個々の曲が良いだけでなくミックスに関しても、随所で魅せる絶妙なカットインプレーや味のあるアナログノイズなどのテクニックはもちろん、明確な流れのある選曲でひとつの物語をつくりあげる DJとしてのLTJ BUKEMの手腕を知ることができる。そして、CONRADのMCもまたその流れに合わせた抑揚を効かせたものとなっており、特にソフトなファンクネスと哀愁漂うメロディが美しい SEBA の代表曲「Planetary Funk Alert 」での歌心あるMCや、精神世界へ連れていかれそうな ARTEMIS / Inner Worlds から SEBA / Connected へのつなぎでの secrets of time... はカッコいい。とにもかくにもGLRを知るにはまずはこの一作を。文句無しの最高傑作です。


V.A. (GoodLooking) : EARTH Vol.1&2

Volume2はGLRの中核を担うアーティスト達が続々とロービートの曲を提供している。LTJ BUKEM / cosmic interludeはEARTH的グルーヴ感を醸し出しながらも、比類なき美しさを持ったメロディーはコズミックな感覚をも呼び起こす。BLU MAR TEN / adrift on deep waterはその名の通り底知れぬ水の中へのみ込まれていくような感覚を音によって表現している。Volume1で特に際立っているのはPOETS OF THOUGHTであり、 「samba with j.c.」はサックスが映えるパーカッシヴなラテン・テイストのトラックで非常に人気が高い。 EARTHといえどもドラムンベースも収録されており、特に PHD & THE FUNKY TECHNICIANS なんかはEARTHの世界観とは完璧に逆ではあるが、スペーシーなメロディーが美しいDJ向けミニマルトラック。


BLAME Presents : Progression Sessions 2

同じ BLAME によるミックス物では「LOGICAL PROGRESSION Level2」の方が数段上。BLAME,TOTAL SCIENCE あたりのハードエッジな曲を混ぜたのはやや無理があったのか、本作のミックスはややスムーズさに欠けているような。曲単位ではGLR随一の神秘的なパッドとファットなトラックが素晴らしい PHD / Beneath the Surface と KMC / System が進化した Orbiting Probes はGLRの中でも10本の指に入る屈指の名曲であり、 ODYSSEY の2曲などもかなり良いです。


INTENSE Presents : LOGICAL PROGRESSION LEVEL 3

97年ブリクストンアカデミーでのライブ・ドラムンベース。とはいえドラムループに適当に生のサックスとか乗っけただけなんてのとはてんで違い、アヴェレイジホワイトバンド Molly Duncan (父の力は偉大なり)のSa+G+B+Drなどプロミュージシャンによる編成でかなり熱く濃密な生演奏です。1.ではシンセがスペーシーな空間を形成する序盤からサックスの導入と共にジャジーなムードへ転換する様はお見事。2.でのチョッパーベースとディストーションギターの掛け合いもめちゃくちゃかっこいい。3. 4. 6. での流れるような美しいシンセに乗って駆ける様はまさにライブ版 Good Looking Records 王道サウンドといったところ。一方Disc2はGLRのV9時代の不動のレギュラー勢ぞろい(8番キャッチャーのみ補欠)で未発表曲集。黄金期と比べるとみんな新しいことを模索してるのかDJ向けというより曲単位で完結してる感じだが、当然ながらどれも質が高い。寡作の天才 Tayla は名曲「Dimensions」をスムース&ミニマルにしたような美しい曲です。


V.A. (GoodLooking) : EARTH Vol.3

ジャズ・ヒップホップ・ソウル・フュージョンなど多種多様な音楽要素をまとめあげ、洗練された形で抽出したコンピレーション 「EARTH Vol.3」。 LTJ BUKEM / Constellation はフェンダーローズのメロディーが70年代ジャズ的な瞑想感を呼び覚ます。 BLAME / Latitude は流動感のある変拍子ブレイクの上に生楽器の柔らかな音色がちりばめられた美しきジャズ。 TAYLA / Stargazing はアンビエントな静謐感にあふれている。 ARTEMIS / First Light は朝日が差し込んできたようなポジティブな感覚を持っている。ほかにも1曲たりとも聴き逃せる曲はない。また、UK版のCDに収録されているBLU MAR TEN / Ir-On-Ingはぶっとびのファンキーディスコチューン。かっこいい!全体的にどことなく水をテーマにしているのもうなずける選曲です。


BIG BUD : Infinity+Infinity

この頃のGood Looking Recordsはどうも色々と模索しすぎてよくわからなくなってきていたが、BIG BUDのアルバムは本来のGood Looking Recordsらしい音でストレートに勝負し、そんなもやもやをふきとばしてくれる。ちなみにCDだと、全曲がなめらかにMixされているのでお徳です。大まかにその流れを追うと、ギターのリフが瞑想的な 「Indian Summer」、オリジナルはスムースなドラムンベースをトライバルなリズムへと組み替えた 「Pure (Re-mix)」、そしてクロスフェードしながら入ってくる 「Chill」 (この2つのブレイクビーツの交錯こそがドラムンベースのMixの醍醐味)はローズが舞い、キラキラと光る音響空間を突っ走る、最高に気持ちいい曲。それから、これまた良い 「High Times」、「A Way of Life」などを通過しつつ、最後の2曲はスローダウン。ラストの哀愁ただよう 「Stone Groove」はBIG BUD=フロアライクなドラムンベースだけでないことを示してくれる。


LTJ BUKEM Presents : Progression Sessions 3

確かVol.3はSEBAによるミックスが予定されていたはずだが、結局ゴタゴタがあってなのかわからないけど SEBA ではなくブケム登場。以降このシリーズは全部ブケムが担当。MCはConrad & DRSのツインでミックスもボーカルも共にかなりアッパーで盛り上がっています。序盤の CONTROL の変則ソリッドビートから BIG BUD / Pure へのスムースなつなぎでいきなり勢い付きます。中盤はややつまらないが、後半7~10への一連のミックスはいい。これはJ-WAVEでのミックスでも同じつなぎをしていた。BLU MAR TEN / Everglades EP からの2曲が際立ってます。

LTJ BUKEM Presents : Progression Sessions 4

選曲は悪くは無いがかなり無難な出来という感じで面白みに欠ける。ほとんどGLRの新曲プロモーション的な薄い内容といえよう。MCもあまりテンション高くない気がするし。唯一のニューフェイスである PSYNE による Sly Detector は GOODLOOKING にしては珍しくダークなムードを持った曲。なかなかドラマティックで好きです。 RANTOUL は1曲目以外はダメ。一番の聴き所は 6. LTJ BUKEM / Rhodes To Freedom ~ 7. MAKOTO / Butterfly への流れでしょうか。


V.A. (720°) : TWO REVOLUTIONS

720の最新音源をBLAMEがミックス。彼の志向性にはLTJ BUKEMとの違いがだいぶ明確になってきたようで、ディープなパッドで空間重視の BUKEM に対して、BLAME は近未来的な世界観を重んじている。1.はBLAMEを超える勢いで720の顔となりつつあるODYSSEYによる、コスれたような音がかっこいいメカニック・ブレイクビーツ。4.は大きく旋回しながら、跳ねまくるビートで突っ走るフロアキラー。5.はファット・ドープな2ステップビートの上を、サブリミナルにSEが飛び交う。6.は芳醇な音世界の中をブレイクビーツが切り込んでゆく。7.はサイバーな近未来世界に、難解な複雑に組まれたビート。SOURCE DIRECTあたりを思わせる。 11.はジャジーで柔らかく音楽的である。ハイハットが高速に時を刻み、生のパーカッションもうまくブレンドされている。


V.A. (Ascendant Grooves) : ASCENDANT MOODS

日本版は発売されず、輸入版もめったにみかけないが、内容はかなりいい。CD-1はPHDによるミックス(MCはDRS)であるが、彼のDJは元来BUKEMのもつ宇宙志向を正式に継承したともいうべき世界観を有しており、またPHD自身の作品は少ないながらもどれもが大傑作である。本作での「Paradox」も「Beneath the Surface」のような神秘的なパッドに美しいメロディーが混ざり、斬新なパターンのブレイクビーツが極めてかっこいい。DPやFUTURE ENGINEERSによる曲はどれも無難であるが、ラストのAURAL IMBALANCEは際立っている。ディープに広がるアンビエンスが美しいイントロから激しいリズムが絡む様は素晴らしい。CD-2は過去作もしくは未発表のコンピレーションで、やや古典的か。それにしても TQ ONE / Tunnel Vision が収録されなかったのは残念だ。


V.A. (Cookin') : SOULFOOD

EARTHシリーズの内容があまりにも素晴らしいので、Cookin'からのLPにはかなり期待を寄せていたが、EARTHシリーズにはやや劣るもののかなり良いコンピである。 ARCHITEX 「Give Me Some Time」は、出だしこそ変だが、ビートが始まるところが異常にカッコいいファンキーチューン。ARTEMIS 「Second Sight」は、元来の彼らしいファンタジックな世界にファンキーなテイストを加えて独自の世界観を作り出している。BLAME & ODYSSEY 「Twin Moon」は、瞑想的な雰囲気の中を滑らかにドラムがロールする秀作。BJORN 「New Form of Life」はミステリアスでスモーキーな雰囲気がたまらない。

LTJ BUKEM : Journey Inwards

日本版のスリーブには「人類をネクストレベルへと導く」と書いてあるものの、そういった気張ったものではなくてむしろLTJ BUKEM自身が今まで聴いてきた数々の音楽を「内面への旅」によって回想し、それらを現在のテクノロジカルな手段によって再生させたという感じである。荘厳なチェロのソロ曲 「Point of View」から展開される「Viewpoint」はドラムンベースが進化形といえるブレイクビーツ、曲の展開のしかたも作り込まれた感じで途中スムースなリズムになる個所やその後のチェロが奏でるフレーズが印象的だ。全体を包み込むコズミックなアンビエンスも美しい。 「Close To The Source」はGLRの王道を行くディープなアンビエント・ドラムンベース。漂うような空間の中、間があってスムースな2拍のステップが駆ける。個人的には 「Twilight Voyage」で見せたような流麗で華やかな感覚も期待していたが。


LTJ BUKEM : Sunrain

アルバム「Journey Inwards」からの唯一のシングルカット。ラジオでも時々かかっていた。とはいってもこの曲あんまり面白くないな…。こんなスローテンポな曲はどうでもいいし、歌も無難すぎる。とはいえ Flying Fish によるリミックスの方は骨太でファンキーなビートがかなりかっこよい仕上がりになっています。このリミックスのためにシングル買った。


LTJ BUKEM Presents : Progression Sessions 5

前作ほどではないにしろMCはあまり必要無いかなと思った。しかし、なにしろこの当時の時点でのベスト集みたいな感じだから曲のクオリティは大変高い。 4.~8.なんてもうかっこいい曲のオンパレード。MAKOTO & AKIRA の2曲も良いし、何と言っても Close to the Source ~ Equanimity のつなぎがハイライトでしょう。さらに風を鋭く切り裂いて突っ走るようなGLR史上でも最強の疾走感を持った BIG BUD / Chill へ。全体的にやや淡々として聞こえてしまうのは昔と比べて起伏が無いってせいもあるかも。なお、日本盤は MAKOTOによるミックスCDも付属してます(筆者未聴)。


V.A. (GoodLooking) : EARTH Vol.4

紙箱型のジャケットのアートワークが美しく、自然をテーマにした豪華な写真集付き。MAKOTO / Extensions of Life は、音の厚みではなくリズムパターンで勝負するタイプの流麗かつ軽やかなブレイクビーツが美しい。ARTEMIS / Brazilian Sunrise は、ピッチ速めのずぶといキックにボンゴのループが重なった野性の血が騒ぐファンクネスと、しなやかで柔らかな面とをあわせもつフロア対応チューン。間奏後、ハンドクラップからキックが再び入る瞬間がかっこいい。JOHN BELTRAN / Aztec Girl は、夏モード全開の爽やかラテンチューン。なめらかなブレイクビーツを軸に、ピアノやパーカッション、スパニッシュギター、ボーカルを配した本格派。終盤スローダウンしてからは本人もVo.をやっている。全体的にハウスよりではあるが、ハウスへ回帰したというよりブレイクビーツを通過してたどり着いた末のハウスのグルーヴ感であるため、ふつうのディープハウスとは違った面が多々あって面白い。

BIG BUD : Late Night Blues

GoodLookingのトラック量産男といえばMr.NiceことBIG BUD。過去のEPの曲なども含まれているものの2枚組みのボリュームとなっています。まずCD-1は架空のライブ的な構成で、ラップをフィーチャーしたダブっぽい1曲目に始まり、ジャズ、ハウス、ファンクから妖しげな民族音楽まで取り入れたバリエーション豊かな曲が並びます。個人的に一番好きなのは「All Over The World」で、音圧のぶっとい四つ打ちキックとその間を縫うパーカッションによる快い疾走感をもった爽やかな男性ボーカルのディープハウス。CD-2は前作「Infinity+Infinity」の進化版ともいえるドラムンのミックスで、BIG BUDらしいフロアライクでコズミックというかちょっとトランシー。個人的には 「Bluegrass」と 「Spacedub」がお気に入り。 ODYSSEYっぽい変則ビートが風変わりで、なんといってもやはりあの浮遊感ある美しいパッドの音に毎回のことながらやられています。むしろCD-2が BIG BUDらしさ満載。


LTJ BUKEM Presents : Progression Sessions 6

シリーズ6作目。Vol.4,5あたりがたいしておもしろくなかったのであまり期待していませんでしたが、やってくれました、逆転満塁ホームラン級の出来栄え!今回のキーポイントのひとつはライブであること。やはりライブは違う。ブケムのミックスもコンラッドのMCもスタジオ収録物とは気合の入り方が全然違う。そして2つめのキーポイントは、4曲収録されている MAKOTO でしょう。本作品を聴いて彼はついにドラムンベースの真のトップクリエイターの座にまで上り詰めたと確信しました。さて、おおまかに流れを解説すると、1~3曲目はひたすら気持ち良い流れ。特に MAKOTO / Inside Your Love は最高の疾走感を持った傑作!MCの乗りも良くて、フロアを沸かせるツボを知り尽くしている感じ。この、BPMでは計れない「速さ」こそドラムンベースの醍醐味です。 そしてなんといっても本作のなかで一番興奮するのが、MC CONRAD / Futures Call (MAKOTO Remix) 。メロディー、リズムが渾然となって快感中枢を刺激し、CONRADと一緒に歌いだしそうになるくらい(笑)の高揚感をもたらします。Nookie による4曲も全て良いし、いや~たまりません。最後にあえてひとつだけ苦言を呈するなら、気持ちよすぎか!?ドラムンの黎明期にちらほらあったような、ちょっと荒削りなビートも欲しいかも。


MC CONRAD Presents : LOGICAL PROGRESSION LEVEL 4

「The Final Chapter」と称し、ようやくリリース。内容は、CD-1がConradをプロデューサーに据えた6人編成のバンドによるフルアルバムとなっています。通常のドラムンに比べてビートの太さは落ちますが、タイトなリズムで生楽器やボーカルを前面に押し出す形になっている。特に随所のギターカッティングが良い味出してます。 Words 2 B Heardの壮大なテーマを謳う 「Halcyon Voyage」に始まり、ラップがスパークして高揚感あふれる 「Energetic Poetry」。中盤以降はノンストップで、なんといってもツインMC+クールな男性ボーカルという本作でも最も歌心のある 「Strategies & Plans」 が素晴らしい。跳ねるビートとワウの効いたキーボードも極上です。なお、後に「Limited Edition」としてGLRの各アーティストによるリミックスCDも収録して発売されています。こちらは未聴だが好内容と思われる。


V.A. (GoodLooking) : EARTH Vol.5

毎回好内容でGood Looking Recordsの看板シリーズとなりつつあるEARTHの第5弾。今回もVol.4同様豪華な写真集付きですが、ハウス寄りで夏らしい雰囲気のVol.4 とはうってかわって秋めいた落ち着いたダウンテンポ中心。 ヒップホップ寄りの音では特に REBIRTH OF CONSCIENCE のクールなラップがかっこいい。最近活動再開しているPFMは、優雅で美しく壮大なスケールを感じさせるミッドテンポ。在りし頃のGood Looking Recordsの最良の部分であったTAYLA & ARTEMIS というナイスコンビによる1曲は、どこまでも優しく包み込んでくれるファンタジックな世界観がいっぱいに広がる素敵な一曲。ARTEMISの良さを再確認。そして本アルバムで一番目立っていたのは、MAKOTO / You're Divine でしょう。シングル 「Spooned」 のリミックスでも関わりのある COLDFEET のボーカル Lori Fine をフィーチャーし、実にアーバンでスタイリッシュな素晴らしい歌モノに仕上がっています。

LTJ BUKEM Presents : Progression Sessions 7

前作で素晴らしく熱いライブを聴かせてくれた PSシリーズ、今回の東京でのライブ盤も期待通りの一作!神業的なBukemのミックスとCONRADの冴え渡るボーカルに、終始テンション揚がりっぱなし。しょっぱなからいきなりキラーチューン! 「G-Funk」と題するそれは、ファンキーでジャジーでメローでアップリフティングな1曲です。引き続きミステリアスなムードへと変化してゆき、 Herbie Hancocok の Bukem Remix。これがまたかなり良く、ブケムらしい流れるような美しい和声によるコズミックなウワモノと、極限まで削ぎ落とされたシンプルな2ステップのビートがソリッドに決まっています。さらにピアノのリフがエレガンスなKYMERA / Secrets へと展開され、一回目のRewind。激しいカットインプレイを披露し、もうBUKEMの独壇場!往年のアンセム PFM / The Western のリメイクなどをはさみつつ、いよいよ本作の山場とも言える MAKOTO / Music Has Never Let Me Down です。 リフレインされる印象的な 「Never Let Me Down Down Down...」 のフレーズと CONRADの歌うMCがバッチリはまり、パンチの効いた滑走するビートがこれ以上無い最高の盛上がりを見せてくれます。 SOUL PURPOSE, ORG LOUNGE といった初耳の人たちの曲もかなり良い味出していますが、やはり今回も3曲収録されているMAKOTOが重要なポジションを占めている。 「My Soul」 ではパーカッシブなビートが疾走感溢れるソウルフルなドラムンを聴かせ、ラストは 「You Make Me Feel」でクールに幕を閉じます。


V.A. (GoodLooking) : EARTH Vol.6

シリーズ過去作Vol.1~5まですべてはずし無しできたEARTH、今回はどうでしょうか。1曲目からいきなりMAKOTOの素晴らしくアコースティックで美しい弦楽曲で幕開けます。MAKOTOといえばPSシリーズではフロアキラーなD&Bの印象も強いですが、その一方で不朽の名作「You're Divine」 に代表される都会的フュージョンな音で、類稀なる音楽的才能を感じさせます。今回の 「Introduction」でそれを確信しました。さて、2曲目以降はほとんどchillyなロービートで構成されていますが、全体的に本作品のビジュアルイメージである雪山がはまっており、冬の冷たく澄んだ空気を感じさせてくれます。 ニューカマーによる曲は、2曲参加の Marcel なんかは声ネタさえなんとかすれば結構いい線行ってますが、一部やや退屈感は否めないですが、 The Freckles は生のストリングスを用いて優しい音を聴かせてくれます。ラスト3曲はドラムンベース寄りなアプローチが続きますが、その中でも特に Quintet Plays / The Chase は際立って良い。スピード感あるジャズブレイクと開放感のあるキーボードに、心は大空へと羽ばたいてゆく。

LTJ BUKEM Presents : Progression Sessions 8

ジャケが濃いっ!正直言って前2作に比べてあまり聴きこんでないです。今回は MAKOTO の曲はアルバムからの曲で、アッパーというよりクールな路線。好きなのは 2. CHAMPAGNE / Deep 。「deep..deep...deep...」の声ネタの使い方もかっこいいファット&ファンキーな1曲です。また、 GREENFLY / Electrofusion はその名の通りフュージョンライクなキーボードのメロディが美しい。この人なかなか好きです。山場はラスト近くの AQUASKY / In the Zone でしょう。MC・オーディエンスともども興奮は最高潮という感じです。


MAKOTO : Human Elements

満を持してついにリリース。初めトラックリストを見たとき、コンピなどで既出の曲が多めだったのでちょっと新鮮味に欠けたかなと思ったけど、初聴きの曲のどれもがパーフェクトといえるような素晴らしい出来!特にD&B界きってのソウルフルな男性ボーカリスト Cleveland Watkiss をフィーチャーした「Time」は、思わずPVのように一秒一刻に急かされる都会を走って抜け出したくなる伸びやさとスピード感のある最強の1曲。そして、EARTHシリーズでの佳曲をご存知の方ならすでにおわかりでしょうが、もちろんドラムンベースには全然固執しておらず、「Four Silver Rings」「Seventy Three Jam」などの本格的なジャズファンク調のインストや、 COLDFEET の Lori Fine の艶のあるボーカルが美しいミッドテンポ「It's No Mystery」も実にアーバンで絶品。PSシリーズではフロアを熱狂させるアッパーなトラックが目立っていましたが、本アルバムではやや涼しげで爽やかな印象で、アルバム全体の構成もまた完璧です。ブケムもネクストレベルへ導く一作だと絶賛だが、確かにブケムの「Journey Inwards」よりもキャッチーで一聴して人を引きつけるパワーがあるのでポップフィールドへ大きく前進した感があり、セールス的にも相当いけるだろう。


V.A. (Good Looking Records) : EARTH Vol.7

通常CD + 5.1サラウンドDVD + プロモCDで通常価格というお得な限定版。Vol.6はレーベルもろともやや落ち目な感じだったけど、今作は MAKOTO, NOOKIE ら古株アーティストを中心に明らかに持ち直した内容。誰がいったか知らんが「東洋の魔術師」ことマコト、いやしかし彼の曲は確かに人を熱くさせるvibeがある。ベタにならず、あそこまでキャッチーでファンキーでアゲてくれる曲を作れる才能。そういえば彼は The Daily Yomiuri (読売新聞英字版)なんかにも載ったらしい。さらに NU MOON である。「Q」と名付けられた一曲は、かつての ARTEMIS を思わせるポジティブな光とエネルギーに満ちた会心の一曲!久々に、キた!一方新入りアーティストでは、2曲やってる Bluba Lu なんかはブケムお気に入りらしいが、あの変な声ネタはどうにかしてくれ。